中間報告 VIII 現時点での参考意見と今後の課題


  1. わが国の乳幼児突然死症例は満2カ月〜満6カ月にかけての発生頻度が高く、その後緩や かな減少傾向を示す。満3カ月までの症例については明らかに男児の発生額度が女児の発生頻 度を上回るが、満3カ月以降満12カ月未満においては男女間に有意差は認められなくなる。

  2. これらの乳幼児突然死症例においては様々な病理所見が認められているが、特に諸臓器の うっ血、胸腔内臓器の溢血点、肝賦の髄外造血および脂肪変性、肺問質の浮腫および細胞浸 潤、脳浮腫、脳幹部のgliosisは所見の出現頻度が高い。一方、心筋梗塞症や脳挫傷、硬膜下血 腫、肝臓への著明な炎症細胞浸潤、冠動脈の異常等は乳児に急死を引き起こす十分に合理的な 原因となるが、いわゆるSIDSからは区別されるべきものと考えられる。

  3. 発見時の体位では明らかに伏臥位の頻度が仰臥位の頻度を上回り、その差は約2倍で あった。また、左側臥位の症例は散見されたが右側臥位の症例は認めなかった。一方、うつ伏 せ寝の是非については賛否両論があり今後継続して検討を要するが、死亡症例から判断する限 り健康な乳児においては積極的にうつ伏せ寝を推奨する理由は見当たらない。

  4. 平成9年3月21日現在、乳幼児突然死症例において窒息等の外因死と内因死の鑑別は一 部の明らかに外因が推定できる症例を除いて極めて困難である。現時点では、最終的に付され た死亡診断名の如何にかかわらずこれらの症例には原因不明の内因性乳児急死(いわゆるSID S)、窒息、肺炎、Neglect等の症例が混在しているものと考えられ、診断医は独自の基準に基 づいた判断を行っている段階である。

  5. 吐乳吸引所見については救急蘇生処置の影響も含めて今後継続して検討を要する。積極的 な窒息所見と解する意見と否定的意見の両論が並立する。

  6. 今後の課題としてこれらの登録症例こついて多方面より積極的に研究をすすめる必要があ るが、血液、尿等の分析試料の集積が現段階では不十分であり、各施設の協力が待たれる。同 時にこれらの作業遂行を容易にするためにも取り扱い規約の作成と乳幼児死亡時の対応のため のプロトコール作成が急がれる。これらは簡便かつ我が国の実情に即したものでなくてはなら ない。様式としてはB4もしくはA3一枚程度にまとめて各施設において臨機応変に使用可能な ものが望ましい。他方、内因関与の外因死もしくは外因関与の内因死について可能性の検討を 行う必要がある。


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